最近、何か問題を起こす大人について、アダルトチルドレンで大人になりきってないなどという表現をするケースがあります。アダルトチルドレンの言葉ばかりがひとり歩きをしていて、実際どんな人たちのことを指す言葉なのか、今一つはっきりしていません。アダルトチルドレンは、育った家庭環境が関係している場合もあり、問題は複雑です。今回は、何となく理解しているアダルトチルドレンについて、詳しく解説します。
1.そもそもアダルトチルドレンとは
アダルトチルドレン(Adult Children)とは、子どものころの家庭内トラウマが原因して、それをひきずりながら大人になった人たちを指します。アダルトチルドレンは、子どもの頃のトラウマから解放されず、大人になってからも自分自身が生きづらさを痛感しながら生きています。また、アダルトチルドレンは医学的な病名ではありません。元々は、アルコール依存症の親のもとで育てられた子どもを指す「Adult Children of Alcoholics」という意味で使われていました。
親がアルコール依存症以外の家庭でも、同じような精神状態で成長した大人が増えています。現在では肉体的・精神的虐待などの問題を持つ「機能不全家族(機能不全家庭)」で育った人も含め、アダルトチルドレンと呼ぶようになっています。
1-1.アダルトチルドレンは精神疾患ではない
注意すべき点は、アダルトチルドレンは、あくまで精神疾患や障害として定義されているものではありません。自分の中にある自己不全感や生きづらさ、人間関係の軋轢などの問題が、子どものときに育った家庭環境に関係あると捉えています。
2.アダルトチルドレンの特徴
アダルトチルドレンの特徴の一つが、本来子ども時代に与えられるべき愛情が十分に得られていないため、成長してから自分に対する欠落感を抱いく傾向が強いことです。比較的自尊心は低く、自分に自信が持てず自己肯定感も高くなく、自分を無意味な人間と思いがちです。また、子ども時代に抱えたトラウマから逃れられず、心理的な不調を抱えて抑鬱的になったり、しばしば人間関係に問題を生じさせたりする特徴があります。自己肯定感や自尊心が低いと、周囲に必要以上に迎合したり、嫌なこともはっきり断れなかったりして、それがストレス過多な生き方につながることもあります。
3.アダルトチルドレンになった原因
アダルトチルドレンは、その大半が親などを含む家庭環境が影響しています。なかでも、主要な原因とみなされているのが次の4点です。
3-1.虐待やネグレクト
アダルトチルドレンの代表的な原因の一つが、家庭内の虐待やネグレクトです。殴る蹴るなどの暴力だけでなく、罵声を浴びせたり、DVを見せたりするなどの心理的虐待や、性的暴行受けた子どももいます。また、ネグレクトも虐待の一つで、学校に通わせない・家に閉じ込める・食事を与えなかったり医療を受けさせなかったりなども、アダルトチルドレンとなる原因です。
3-2.機能不全家族のもとで育つ
機能不全家族は、生活困窮者やアルコール依存症などで家庭として社会的、経済的に問題がある家族だけではありません。「機能不全家族」の言葉通り、「暴力や言葉の暴力」「両親の不仲」「家族間の連帯や愛情が薄い」「精神的・情緒的に不安定な家族」など、多種多様な問題がある家庭です。また、厳格すぎる親や過度の期待などで子どもが息苦しさを抱えていることもあり、そんな家庭も機能不全家族といえ、アダルトチルドレンの原因になっています。
3-3.親がアルコール依存症
日本では、あまり多くはありませんが、アルコール依存症の親がいる家庭もあります。昼間から酒を飲み、アルコールが切れると周囲に暴力を振るう親の行動は、子どもの心身に大きな悪影響を与えます。アメリカの例を見るまでもなく、アルコール依存症の親がいる家庭は、アダルトチルドレンになりやすいのです。
3-4.毒親に育てられた
毒親とは、幼い子どもにも負担となる、まさに「毒」となる親のことです。子どもの行動すべてに口出しする過干渉や、過剰な完璧主義が子どもに過大なプレッシャーとなり、子どもの幸福を邪魔する行動ばかりを行う親が該当します。毒親に育てられた子どもは、成長して成人になっても自分の思考力や判断力をストレートに出さない傾向です。
4.アダルトチルドレン脱却の対策
アダルトチルドレンと指摘され、自ら自覚し克服を目指すのであれば、認知行動療法でアダルトチルドレン状態を改善することがあります。認知行動療法では、患者指針がアダルトチルドレンであり特有の思考があることを意識させ、今までの思考や物事の受け止め方を、変えていくアプローチを行うのです。
多くのアダルトチルドレンは、自尊心が低く、常に人の顔色を伺って生きています。またアダルトチルドレンは、成長するまで自分の育った環境が普通でないことに気付かないまま生きていることがあります。そこで、アダルトチルドレンを克服する第一歩は、自分自身を客観的に見つめ直し、本当の気持ちをストレートに表明することです。
5.まとめ
アダルトチルドレンと気が付いたならば、自分だけを冷静に見つめ、それまでの思考方法や自部自身の価値観など、改めて見直しましょう。周囲を一定程度気にすることは必要ですが、周囲に振り回されないことです。本当の自分は意外と大人かもしれません。
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